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備忘録とかに使えそうなノート

英文校正から学ぶ論文に使える英語,使う英語

完全にテクニカルではなく,ややアカデミックに近しい話.

とはいえ論文に限らず,通常の書き言葉にも使えそうな気がする話.

英語論文を書いて,英文校正に出したらひどく赤になって返ってくる.

何度か経験しているが,それでも赤の量は多い.

自分の英語力不足が原因なのは明らかだが,校正された箇所をおいそれと修正して「はいおしまい」としてしまうのはよろしくなくて,せっかくそれなりのお金をかけているのだから,やはり今後の自分のために生かすべきだと考えた.

なので,今回は自分が受けた校正の中から,完全なる独断と偏見で気になったものをピックアップしていこうと思う.

いわゆる重箱の隅をつつく回である.

 

なお, このあとで記述する単語の意味の引用元はLongman英英辞典( https://www.ldoceonline.com/ )である.大変参考にさせていただいた.

 

 

 

A which has X → A containing X

何かと単語を修飾したいときに,ついwhichを使ってしまう癖がある.

しかしこの例のように,現在分詞を用いて名詞を修飾することでwhichの乱用を抑えようというもの.

contain

if a substance contains something, that thing is part of it

 余談だが,英英辞典によると日常英語の場合ではcontainはしばしばhaveやthere beに置き換えられるようである.

 

 

some previous research → extant alternatives

alternative (Noun)

something you can choose to do or use instead of something else

「関連研究」と言いたい時に使える表現.previous researchやrelated worksなどを用いていたが,これも言い回しの一つとしてalternativesが使えるようである.

しかし,extantに関しては意味が以下の通りであるため,使う場面には気をつけたほうが良さそうである.

extant

still existing in spite of being very old 

 

 

as well as A, B, and C → along with A, B, and C

「同様に」という文脈で書いたものだが,along withも使えると学んだ.

"as well as"という調べ方もいささか微妙なところであるが,"as well"自体が"too"のような意味合いなので,今回よしとした.

また辞書によってはalong withも"in addition to"の記述があるので,大きな違いはないと思う.別の言い回しの引き出しの一つとして使えるかと.

along with somebody/something

together with someone or something else

as well as somebody/something

 in addition to someone or something else

 

 

A allows us to do → A allows (doの名詞形)
A enables us to do → A enables (doの名詞形)

具体的には,"These instructions enable us to execute ..." → "These instructions enable execution of ..."となるように校正をしていただいた.

こうして見ると,この手の動詞を使うたびに"us to"が毎度出てくるのは少々冗長である印象は確かに受けたため,この校正から知見が得られた.

 

 

have the advantages → offer the advantages
have shorter execution time → offer shorter execution time

「優位性を持つ」や「より短い実行時間(のデータ)を持つ」というつもりでhaveを使っていたが,この非常に汎用性の高いhaveの乱用を防ぐための言い回しとして校正していただいた.

offerも少し便利な単語のようで,

offer (Verb)

to provide something that people need or want

のという意味がofferにはある.

そのため,今回のような比較的ポジティブな目的語を取る,かつhaveを使いそうになったらofferも想起できればと思う.

 

 

than A and B → over A and B

これに関しては完全に文法レベルの問題.ただのやらかしである.なぜならば,

than

used when comparing two things, people, situations etc

 と,"two"と明示的に記述されているからである.

AやBよりも〜である,と書きたかったら,overを検討するという知見.比較だからといってむやみにthanを使うとこのようなミスをするという知見.

 

 

than → compared to

むやみにthanを使うとミスする知見の一つ.

このthanがなぜ校正されたのかを考え調べた結果,「AとBを比べた時,具体的にどの程度差があるのか」という文脈になる時にはthanではなくcompared toを使ったほうが良いという結論に至った.

例えば「AはBよりも"1つ"少ない」のように具体的に差が分かる材料が混ざっている時にはcompared toに校正されているようであった.

実際にthanを使用した辞書例文を漁ったが,先述の「AはBよりも1つ少ない」のような文脈でthanを使っている文が見当たらなかった.自分の目が節穴説.

もしかしたらこのような場合でもthanを使用してはいけないルールはないのかもしれないし使用例があるかもしれないが,compared toを使用したほうが無難そうであると学んだ.

 

 

in order to → to

ことごとく校正された節.

"in order to"は「目的」であることを明確に表現でき,かつ書き言葉であるため,何度か文中に使用したが全て"to"に校正された.

辞書とは別で,参考文献を漁ってみたが,"in order to"と"to"との間には意味的な違いはないようである.そして否定文の時には,in order toの方が好まれる(in order not to)ようである.

ただ論文という観点では,in order toは少々冗長な表現なのかもしれない.

 

 

it would be → it is reasonable to assume

直にこのように校正していただいた訳ではないが,意味的にこのようになる.

文脈は「〜を考慮すると,〜であると考えるのが妥当である」といった推論である.

日本語のレポートや論文ではよく見られる「〜であると考えられる」「〜と思われる」というような表現は英語論文ではあまり使われない.つまり日本語でいうところの「〜と思われる」のような推論の文脈でthinkなどは使われない(見た記憶がない,が正しい).

"think"を辞書で参照すると,2に"imagine something"とあるため推測の意味が全くないわけではないが,自分が観測した限りでは英語論文という観点ではあまり使われる単語ではないようである.

think

1. to have a particular opinion or to believe that something is true

2. to use your mind to decide about something, form an opinion, imagine something etc

3. to have words or ideas in your mind without telling them to anyone

4. to remember something

5. to consider that someone or something is a particular thing or has a particular quality

そのため個人的に「〜と考えられる」となるような文にしないようにしているが,どうしても推論の文脈になる場合には,上手い言い回しが浮かばないためそれらしいwouldを使って書いてしまう.

しかし今回の校正で,言い回しの一つとして"reasonable"を用いた表現に直していただけたため,なるほどそういう書き方があるのかと個人的に感動したためここに書いた.

reasonable

fair and sensible

 

 

 

 

こうして振り返ると,各項目やそれに関連する項目についての下調べ,surveyのために英英辞典や英文サイト等などを漁っている時間が圧倒的に長かった.

重箱の隅の重箱の隅の重箱の隅の.....状態.

それほどには自分は英語について全くわかっていないし,英語が全然使えていないことが浮き彫りになっていることがよくわかった.

同時にすごく書いてて面白かったので,自己満的に近いうちにまたその2とかを書こうかなとも思う.